Reasearch Topics
A. Quatitative Analysis on Non-sepcific protein absorption
アフィニティ樹脂を用い、生理活性物質のターゲット探索を行う際、tubulinやactinなどに代表される非特異的なタンパク質吸着が大きな障害となる。特に、創薬の関心が高い一定レベルの疎水性を有する(経口吸収性や細胞膜透過性が期待されるレベル)場合、その抑制が大きな問題となる。従来より、非特異的タンパク吸着量は化合物の疎水性に比例するといわれていたが、創薬に用いられる低分子化合物に応用可能な定量的な解析例が無かった。そこで、我々は研究の初めにあたり、市販の固相担体Toyopearlにいろいろな脂肪酸やアミノ酸、医薬品などを固定化し、ラット脳から調整したライゼートと混合し、十分洗浄した後に、樹脂に結合しているタンパク質を溶出し解析した。その結果、言い伝えどおり、tubulinおよびactin結合量は化合物の疎水性と相関した。化合物のCLOGPが1.5未満ではほとんど非特異的タンパク質吸着は見られず、CLOGP>1.5ではCLOGPに比例し増加した。
上の結果を証明するため、FK506固定化樹脂に親水性スペーサーを追加すると、その親水性の増加に伴い、上図のとおり、非特異的タンパク吸着量は減少した。しかし、その抑制は十分ではなく、従来の固相担体への親水性導入では目的とするアフィニティ樹脂開拓が困難であることも示された。
T. Tamura, T. Terada, A.Tanaka. A Quantitative Analysis and Chemical Approach
for the Reduction of Nonspecific Binding Proteins on Affinity Resins. Bioconjugate Chem., 14 (6), 1222-1230 (2003).